「頭のところにできものがあります」と
来院された11才のメインクーンの男の仔。
診ると頸部背側の皮膚に直径2cm大の
嚢胞様の膨らみがあった。
触ると波動感があった。
針で穿刺してみると、5mlくらいのやや黄色の
液体が抜け、しこりは空気を抜かれた
風船のようにへしゃっとなった。
小さくなったとは言え、また再び液体が
溜まってくる可能性が高いことを飼い主様に告げた。
(採取した液体を病理検査に出すと
少数の細胞成分が認められ、悪性腫瘍を疑う
所見はなく、軽度の炎症の可能性が示唆された)
それから2ヶ月後、同部位は再び嚢胞様に
膨らんでいた。
穿刺をすると、小さくなった。
「膨らんでは抜き、膨らんでは抜きという
やり方は一つの方法かもしれないが、
根本治療は手術して摘出すること」と
飼い主様に説明した。
それから2ヶ月後、しこりは3cm大になっていた。
今回飼い主様は、吸引ではなく手術を望まれた。
術前検査の後、全身麻酔を施し、
摘出オペを始めた。
オペに際して被毛を刈ってみると
しこりが、よりリアルに見えた。
メスを用い、しこりの根部を少しずつ
切除していった。
出血もそれなりにはあったが、想定された
範囲内であった。
切除後の類円形の欠損部位を、
慎重に縫合し、オペを終了した。
今回のしこりは、臨床的には嚢胞と思われたが
切除後の病理検査で、「汗腺腫」と判明した。
(良性腫瘍)
吸引を繰り返すのはなく、根治を狙って
思い切って、オペしてよかったのではないかと思う。
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