「昨夜・・・」(その1)

「昨夜、家の中で・・・」
と話し始めた飼い主様。
どうやらネコが家の中で頭部を
強打する事故にあってしまったという。

診てみると左眼から、うっすら血様の涙
鼻の腫れ、鼻出血、口からの血様のよだれ
そして下顎の左右の犬歯が大きくずれ、
口を閉じることができず、開いたままの状態。
触診で下顎骨の骨折を触知し、
レントゲンで確認した。
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頭部から顎にかけて、余程の強い力が
加わったと思われた。

このままでは、食餌は勿論、水すら飲むことは
できない。
骨折部を整復するためには、手術が必要である。
しかしながら・・・

この仔の年齢は、なんと「19才」。
麻酔と手術に耐えられるだろうか・・・。

血液検査等、術前検査を実施した。
心配していた腎機能は、やや低下
しているものの、麻酔が可能な範囲
であった。
肝臓やその他の所見も19才とは
思えないレベルであった。
とは言え、年齢を考えると
数字には表れていないリスクも

潜んでいると考えられた。

しかしこの仔を助けるには、
手術以外の選択肢は頭に浮かばない。

上記のことを飼い主様に説明した。
不安そうな表情であったが、オペに
同意された。

翌日オペを行うこととなった。
                  (つづく)


ここにくるまでの19年間、これといったケガや
病気をすることなく順調にきていたそうです。
今回19才にして、大きな試練となりました。
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