「2ヶ月前から痒がっていて
特にここ1ヶ月は痒みがひどいです。」
と来院されたマルチ&プードルの
1才の男の仔。
診ると両耳の辺縁と両目の上の皮膚に
岩のような硬い痂皮が形成されていた。
被毛には多数の塊状のフケが
絡み合っており、ところどころ毛玉を
形成し、皮膚には丘疹が多発していた。
見るからに、とても痒そうであった。
【前胸部の皮疹 上が頭】
早速この皮膚病を診断をするために
皮膚検査を実施した。
皮膚の一部をメスの刃で掻把したり、
被毛を抜いたり、診察台に落ちたフケ等を
顕微鏡で注意深く観察した。
すると「疥癬」が目に入った。
しかも多数動いているのが見えた。
疥癬は痒い病気の代表格である。
疥癬駆除の注射と皮膚の細菌感染
に対する抗生物質の投与を行った。
それから約1ヶ月半、
治療が奏功し、皮膚の痒みも
頑固な痂皮も消失し、
この仔の顔つきも別人のように
穏やかになった。
犬疥癬症の原因は、イヌセンコウヒゼンダニという
ダニが寄生し、皮膚に穴を掘りそこで産卵します。
感染したイヌとの接触や敷物の共有などでうつります。
人には一時的に感染することもあるが、寄生し続ける
ことはできないと言われていますが、感染すると
とても強い痒みを伴います。
今回のこの仔は、かなり重度のレベルでしたが
皮膚に痒みがあるときは、早めの受診を
お勧めいたします。
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