「1日で倍になりました。」と
来院された14才のダックス君。
以前行った歯肉にできたしこりの
切除部位の近くに、再度しこりができた
と来院された。
「昨日しこりに気づき、今日見たら
1日で倍の大きさになっていました。」
とのこと。
前回のしこり切除後の病理検査では、
悪性度の高い悪性腫瘍との結果であった為
局所再発の可能性は、高かった。
今回も前回同様、悪性腫瘍の可能性が高く
増大速度も、とても速いため
診察翌日に切除することとなった。
オペ当日も前日に比べ、しこりはさらに
増大していた。
右側上顎第1前臼歯から第2前臼歯の
歯肉にかけて、赤桃色のしこりが認められた。
正常部位としこりとの境界がはっきり
判らなかった。(境界不明瞭)
また厄介なことに、しこりは外側のみならず
歯の裏側(硬口蓋側)にまで、拡がっていた。
全身麻酔の下、オペを始めた。
開口器で口を開いた状態にして
しこりを切除するイメージを描く。
第1前臼歯を前後左右に動かすと
かなり大きく動く。
このことから歯根部も腫瘍に
侵されている可能性が高いと思われた。
隣の第2前臼歯も、ほぼ同様に
動くことから、こちらの歯根部も
切除する必要を感じた。
メスでイメージした切開線通りに
切開を加えた。
通常の歯肉に比べ、やや柔らかい。
口の内側(硬口蓋)のしこりにも
切開を加えた。
第1前臼歯がしこりに包まれるように
切除された。
さらに切開を進めた。
第2前臼歯部の領域も同様に進めた。
左右と深さ方向のマージンも
意識しながら、しこりを摘出した。
じわじわとした出血はあるものの
予想していた量よりは少ない。
次にぽっかりと開いた穴(摘出部位)を
糸で縫合し、オペを終了した。
オペ翌日、痛がることもなく食餌も柔らかくして
完食。14才という高齢にもかかわらず
よく頑張ってくれました。
今回のしこりは、増大スピードが
とても速いものでした。
できる限り切除しましたが、充分な
マージンの確保が難しかった
かもしれません。
今後については放射線療法も含め、
検討中です。
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