「とても痒そうです。」

「とても痒そうです。」と来院された
もうすぐ12才になる白茶ニャンの男の仔。

ほとんど室内飼いで、1日に1時間くらい?
外出しているとのこと。
診ると顔面や頭部が脱毛し、丘疹と痂皮が
認められ、かなり痒がっているようで
自分で引っ掻いたり、何かにこすり付けた
と思われる病変も多数認められた。

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胸腹部側面や大腿部の皮膚も舐めているようで
被毛が薄くなっていた。
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短時間と言えども、野外に出ているので
ノミの感染は勿論、細菌による感染症と
疥癬やニキビダニ(ネコではまれ)などの
寄生虫も疑い、病変部を5~6カ所、
皮膚のスクラッチや被毛を抜いての
検査を実施した。
しかしながら顕微鏡をくまなくみたが
原因を確定するものは認められなかった。

以上の結果を飼い主様にお伝えし、
皮膚病変の状態やとても強い痒み症状、
野外に出ていることを考慮し、
疥癬に対する治療と細菌感染に対する
抗生物質治療を開始した。

それから1週間後、来院された。
「痒みがかなり減り、随分楽になりました。」
と飼い主様。
診ると頭部と顔面の病変部の炎症所見が
随分と改善し、赤みを帯びていた顔が
落ち着いていた。

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「治療して翌日くらいから痒みが減りました。」
とのことであった。
今後も経過を注視しながら、治療を継続していきたい。

時に皮膚病において、はっきりと原因を特定できない
場合があります。
しかしながら病変部の部位や状態、痒みの有無、
野外に出る出ない、食餌内容など様々なことを考慮し、
仮診断のもと治療に入り、その反応を診ていくこともあります。
「たかが皮膚病、されど皮膚病」と昔どこかの先生から
聞いたことがあります。
皮膚病は「奥が深いよ。」という意味かと思っております。

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