「趾にしこりがあります。」と
生後半年になるミニチュアブルテリアの
男の仔が、来院されました。
診ると右前脚の趾の皮膚に直径5mm程の
赤いやや硬いしこりを認めました。
約2週間前に見つけ、様子を見ていたが
大きさの変化もなく、痒みや痛み、歩行に際しての
不自由さは全くないとのことでした。
飼い主様とご相談のうえ、2週間経過観察と致しました。
それから10日後、「しこりが大きくなっている」
と来院されました。
診ると、しこりは約10mmX8mm程にまで
急速に増大しておりました。
急速に増大していても、生活には全く支障ない
とのことでしたが、増大速度がとても急速であることと
趾の皮膚は余裕がないので、これ以上大きくなったら
切除の際、皮膚の縫合が厳しくなる恐れが生じる旨を
お伝えし,手術を検討していただきました。
それから2日後、切除することとなった。
この2日の間に、しこりはさらに増大しており、
約1.4cmX1.2cm。
全身麻酔を施し、オペを開始した。
皮膚としこりの境界部よりメスで切皮。
出血に注意しながら、少しずつ切開部を拡げる。
予想より出血は少ない。
そして切除に成功。
皮膚と皮膚の縫合を始めた。
この部位はカラーをしていても、届きやすい部位なので
仮に舐めても、すぐに開かないよう通常より
縫合間隔を密にした。
そしてオペは無事に終了した。
切除後の病理検査の診断は「皮膚組織球腫」という
良性腫瘍でした。
良性腫瘍であるにもかかわらず、細胞分裂の頻度が
高いというのが、この腫瘍の特徴と言われています。
今回のこの仔は、術後も順調な経過をたどっております。
若くても高齢であっても、最近しこりで来院される方が
大変増えております。
痛みや痒みの有無にかかわらず、しこりに気づいたら
まずは動物病院への受診をお勧め致します。
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