「昨夜から、50回くらい尿をしています。」
と来院された13才の柴犬の女の仔。
排尿と言っても、1~2滴の時やしゃがんだまま
全然出ない時もあります。
今朝は、起き上がることもできず
朝食も食べようとしなかったという。
顔を見ると左右の眼には目やにがつき
眼がとても開けずらい状態で、顔つきも
具合の悪さが表情に出ていました。
体温は39.7℃と発熱を呈していました。
血液検査では、白血球数が健常時の約2倍に
上昇しておりました。(炎症があることを示唆)
エコーにおいて、膀胱はほぼ空の状態だったので
しばらく時間をおいてから実施しましたが、
膀胱内に結石は認められず、膀胱の厚さも
異常ではありませんでした。
尿検査を実施すると
尿がドロッとするくらい粘張性が高く、
色は赤茶色で一部赤く血液が混じっていました。
顕微鏡で尿を観察してみると、白血球がびっしり
見えました。
このレベルだと膿尿(膿のような尿)というレベル。
明確な原因は不明ですが、尿が膿で一杯になって
いるような状態です。
点滴を開始し、抗生物質2種類と消炎剤を注射し
半日ほど預かることとしました。
それから2~3時間後、熱は39.2℃に下がり
さらに時間の経過とともに、徐々に平熱まで
下がりました。
眼も開くようになり、顔の表情も朝の来院時と比べると、
かなり改善しておりました。
夕方からは、食餌も少しずつとれるようになりました。
急性の膀胱炎かと思われますが
一晩で50回も尿をしに行っていたとは
翌朝腰がたたなくなるのも無理はありません。
急な経過で、ここまで重度のケースは
レアですが、寒暖の激しいこの時期は
1日で様子が変わることもありますので
小さな変化に気づけるよう、ご注意下さい。
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