「ここ数日、全く食餌をとらないのですが・・・」

ここ数日、口を気にしているようで
全く食餌をとらないのですが・・・」
と来院された来月で21才になるニャンさん。

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フードの臭いを嗅ぐなど興味は示すが食べない。
(食べられない)という。

数週間前から、頭を振ったり、口に何かが
挟まったようなしぐさを繰り返していた。

口を開けてみると、歯は右側上顎臼歯が1本
下顎の臼歯が2本の計3本あるのみ。
いずれも歯石でがっつりで覆われているため
歯や歯根部の状態を確認するのは難しい。

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血液検査では腎機能が低下している。
この仔は5年前から腎不全のため、
飼い主様の自宅で点滴を続けていた。

症状から歯痛の可能性を考えた。
年齢や血液検査所見から、麻酔のリスクは
低くはないと思われたが、飼い主様と相談の結果
抜歯を行うこととなった。

静脈から麻酔薬を導入し気管チューブを
挿管し吸入麻酔を始めた。
目的の右側の臼歯を、エレベーターを使いながら
靭帯を分離していく。
ある程度分離した後、抜歯鉗子を用いて
抜歯を行った。
さらに同様に、残りの2本も抜歯した。
抜歯時やや固形状の膿様のものも
少量は出てきた。

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これでこの仔の歯は、1本もなくなった。
術中、麻酔は安定していたが、覚醒には
腎機能の低下により、やや時間を要したが
想定の範囲内であった。

動物の高齢化と共に、お口のトラブルも
増えています。
厄介なのは人と違い、少しくらい悪くても
いつも通り食べてしまうため、食べているから
大丈夫と安心してしまう飼い主様が
少なくありません。
逆に食べられなくなった時には、かなり
病態が進んでいる可能性がありますので
ご注意ください。
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コメント

  1. より:

    21で抜歯!見た目も、21というお年には見えませんね。綺麗な別嬪さん。
    うちも全く気づかずにいて、顔の片側がプクーと腫れてしまってから病院に行く始末でした。
    うちは当時16歳でしたが、食欲はやや落ちたかな程度。
    まさか歯とは思わず、悪いデキモノかと慌てて病院へ。
    抜歯していただいてからはスッキリしたようで、それから3年半生きてくれました。
    21で、大事にされている綺麗な三毛猫さん。
    また美味しくご飯を食べて、長生きしてほしいですね。

  2. 獣医師Tommy より:

    コメントありがとうございます。
    16才で抜歯して3年半とは頑張りましたね。
    今回の仔は、リスクを承知でオペになりましたが
    このままだったら栄養不良で厳しい状況になったと
    思われます。
    歯がなくなりましたが、長生きしてもらいたいと思います。

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