「排尿した後、ポタポタたれます。」
「尿の切れが悪いようです。」
と来院された9才のチワワさん(♂)
詳しく聞いてみると、最初の尿はしっかりと
まとまった量の尿が出るそうだが、その後
ポタポタたれるという。
この仔は以前膀胱結石になり、オペしたこともあるので
すぐにエコー、レントゲン、血液検査を実施した。
するとエコーとレントゲンで、膀胱と尿道に
結石所見が認められた。
【上図のレントゲンの白黒を反転。 青いマル内に黒い結石所見が認められる】
今は辛うじて尿が出ているが、尿道の所見からすると
いつ尿道閉塞が起こり、尿が出なくなる状態に陥っても
おかしくない状況であると思われた。
飼い主様に状況をご説明し、尿道、膀胱の
結石切除のオペを、早めに行うことをおすすめした。
オペをすることとなった。
尿道は細いうえ、術後狭窄の可能性もあるので
尿道の切開は、出来る限り小さくするために
切開部位を正確に把握することが重要である。
尿道カテーテルをペニスから挿入する。
約4cm位のところで、こつんと止まり、
それ以上先に進まない。
さらにレントゲン所見と同部位が合っているか
確認する。
またその部位の皮膚を慎重に触っていくと、
コリッとした固い感触が手に触れた。
結石に違いない。
以上のことより、尿道の切開部位を確定した。
いつも通り全身麻酔をかけ、尿道部の皮膚を
切皮した後、尿道が動かないよう押えながら、
メスで尿道に小切開を加えた。
うっすら黒い塊の一部が見え始めた。
(つづく)
この仔の場合、尿がポタポタたれる段階で
来院していただいて良かったと思います。
完全に尿が出ない状態(閉塞状態)になってからですと、
腎機能が低下し、麻酔のリスクがより高くなってしまいます。
尿が出る出ないは勿論、尿の出方にも日頃から注意して
観察していただきたいと思います。
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