「じゃり」とメスの刃が固いものにあたった感触が
手に伝わった。
さらに少しだけ切開を加えた。
すると黒い塊が顔を覗かせた。
塊はいずれも黒色で、大きさは約1~3mm大
ブドウの種のように粒状で、3つが房状に
連なっているものもあった。
尿はこれらの隙間を通って、出ていたのである。
摘出後、尿道カテーテルを膀胱方向に進めた。
何の抵抗もなく、スルスルと膀胱にまで達した。
次に膀胱の結石を摘出するために、開腹手術に
とりかかる。
腹部の皮膚を切皮し、腹膜を開けすぐに膀胱に
眼をやった。
外から見る限り、膀胱の漿膜面(表面)には
何ら異常は見られない。
膀胱切開の際、尿が腹腔内に漏れ出ないよう
尿道カテーテルにシリンジを繋ぎ、膀胱内の
尿を抜去した。
次に膀胱の漿膜の血管の少ない部位2ヶ所に
支持糸をかけ、出血に注意しながらメスで膀胱に
切開を加えた。
じわっと出血が認められた。
膀胱内に尿道と同様、1~3mm大の黒い塊が
膀胱粘膜に張り付いていた。
小さなスプーン状の器具を使い、すくうようにして
取り除く。
こちらも7~8個とれた。
生理食塩水の入ったシリンジをカテーテルに繋ぎ
膀胱内に生理食塩水を注入することにより
細かい砂状のものも採取した。
何度か生理食塩水で膀胱を洗浄し、膀胱内に
結石ないことを再度確認した後、膀胱を閉じた。
縫合後、縫合部から生理食塩水が漏れない
ことを確認して、閉腹した。
今回の結石の分析結果をみると、
やはりシュウ酸カルシウムでした。
この仔の場合、シュウ酸Caの適応食を
食べていたにも関わらず再発してしまいました。
シュウ酸カルシウムは、時に再発を繰り返す
やっかいな結石です。
特に男の仔は尿道閉塞の可能性もありますので
小さな変化に気づいてあげられるよう、日頃の
観察がとても重要です。
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