「今朝から尿が出づらいようです。」(その1)

「今朝から尿が出づらいようです。」
と来院された8才のポメの男の仔。

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昨日はすぐに排尿していたのに、
今朝は排尿姿勢はとるものの
僅かしか出ていないようだという。
また、この仔が飼い主様から離れず
くっついていると心配げに話された。

診ると肛門の右側下部の皮下に
直径約6cm大のしこりが認められた。

しこりに触っても疼痛や熱感
波動感はなく、やや硬く感じられた。
しこりの部位からすると、肛門腺疾患や
会陰ヘルニア、腫瘍などが
考えられた。
レントゲン等の検査も実施したが
しこりの正体を確定することは難しかった。
しかしながら尿が出づらい症状から
考えると、尿道に何らかの障害が
起こっているものと推察された。

排尿が障害されている点を重視し
飼い主様に説明のうえ、手術することと
なった。
全身麻酔のもと、しこりが正面に
なるように、タオルを下腹部に置き、
腹臥位の状態にし、尾を12時方向に
固定した。
剃毛すると、しこりがより鮮明に見えた。
麻酔により筋肉が弛緩したためか
術前より、しこりが増大したように
感じられた。

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しこりの部位の皮膚に、メスで切皮を
始めた。
出血に注意しながら、しこりの直径ほどの
長さを切皮した。
皮下組織を剥離すると、薄い半透明の
皮膜に包まれた、しこりの正体が顔を出した。
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                      (つづく)

排尿姿勢を何度かとるものの、
尿が出づらいなどという症状より、
膀胱炎や尿道閉塞(結石など)の
可能性もありましたが、今回は
しこりの可能性が高いと判断し
オペすることとなりました。
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