「そして今を迎える!」

慢性腎臓病の治療のため
10日に1度の頻度で通院されていた
アメショMixのクロちゃん(16才、♂)
飼い主様のお仕事の都合でやむなく
通院できないでいたところ、急に状態が
悪化したと来院された。

急に元気がなくなり、ずっと同じ場所にいて
動いていない。嘔吐の痕(吐物)があったという。
血液検査では腎臓の指標であるBUN(129.7)と
CREA(8.4)が、大変高値であった。
正常値の上限はBUN(32.8),Crea(1.8)。
体温は38.3℃であった。
腎機能が重度に低下し、尿毒症が始まっている
ように思われた。
すぐに入院してもらい、静脈より輸液を開始した。
しばらく注意深く観察してみたが、ぐったり
横になったまま動くことができない状態。
トイレに行く力もなく、タオルに排尿していた。

翌日少しだけ動けるようになり、わずかに
上向き傾向かと思っているとその翌日、
体温が35.8℃にまで低下した。
血液検査ではBUN(140以上)とさらに上昇し
生命の危機が迫っていた。

飼い主様と相談し、ご自宅で過ごす時間を
重視してもらうため、朝から閉院時までは
病院で点滴等を続け、夜はご自宅で過ごして
いただくこととした。

退院翌日、体温はなんと37.4℃にまで
改善していた。
帰宅後、自ら水を頻繁に飲んだとのこと。
フードは、さすがに全く食することは
できなかった。
厳しい状態は続いていたが、点滴、注射、
強制給餌等を続けた。
そして10日目、少量ながら自力で食餌を
取りはじめた。
さらに10日後の血液検査ではBUN(55.9),
CREA(3.6)まで改善。
食餌量も徐々に増えていった。
以降、通院頻度を週3~4日に下げてみたが、
徐々に元の生活を取り戻していった。

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それからも週3~4回の頻度で通院して頂いている。
季節は冬を抜け桜の季節、「すごいですね」
と言っているうちに、夏を迎え、暑さも乗り越え、
紅葉、そして今を迎える。

そうあの亡くなる寸前の状態から、1年たったである。
生命力のすごさを改めて感じた次第である。
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【なかなかのイケメン君です】
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「医療に絶対はない」という言葉を
いつも頭の片隅に置いていますが、
今回は大変貴重な経験をさせてもらいました。
この仔のお宅は、ニャン6匹の大家族。
その中でこの仔は皆の潤滑油的な存在。
帰宅後「皆の前で弱った姿を見せられない。」と
計り知れない生命力が発揮されたのかもしれません。
いずれにしても、飼い主様の深い愛情の賜物でしょう。
これからも元気で長生きできるよう
お手伝いをさせていただこうと思っております。

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