「趾にしこりがあります。」

「趾にしこりがあります。」と
生後半年になるミニチュアブルテリアの
男の仔が、来院されました。

診ると右前脚の趾の皮膚に直径5mm程の
赤いやや硬いしこりを認めました。
約2週間前に見つけ、様子を見ていたが
大きさの変化もなく、痒みや痛み、歩行に際しての
不自由さは全くないとのことでした。
飼い主様とご相談のうえ、2週間経過観察と致しました。

それから10日後、「しこりが大きくなっている」
と来院されました。
診ると、しこりは約10mmX8mm程にまで
急速に増大しておりました。

急速に増大していても、生活には全く支障ない
とのことでしたが、増大速度がとても急速であることと
趾の皮膚は余裕がないので、これ以上大きくなったら
切除の際、皮膚の縫合が厳しくなる恐れが生じる旨を
お伝えし,手術を検討していただきました。

IMG_5558

それから2日後、切除することとなった。
この2日の間に、しこりはさらに増大しており、
約1.4cmX1.2cm。
IMG_5561

IMG_5562

全身麻酔を施し、オペを開始した。
皮膚としこりの境界部よりメスで切皮。
出血に注意しながら、少しずつ切開部を拡げる。
予想より出血は少ない。
そして切除に成功。

IMG_5565

皮膚と皮膚の縫合を始めた。
この部位はカラーをしていても、届きやすい部位なので
仮に舐めても、すぐに開かないよう通常より
縫合間隔を密にした。
そしてオペは無事に終了した。

IMG_5568

切除後の病理検査の診断は「皮膚組織球腫」という
良性腫瘍でした。
良性腫瘍であるにもかかわらず、細胞分裂の頻度が
高いというのが、この腫瘍の特徴と言われています。
今回のこの仔は、術後も順調な経過をたどっております。
若くても高齢であっても、最近しこりで来院される方が
大変増えております。
痛みや痒みの有無にかかわらず、しこりに気づいたら
まずは動物病院への受診をお勧め致します。
よろしければ、ポチして
下さい。

                  にほんブログ村 その他ペットブログ 動物病院・獣医へ

コメント

タイトルとURLをコピーしました