「寒い季節は、ご用心!」

「トイレで力んでいます」と来院された
1才半の♂のニャンさん。
もしやと思いお腹を触ってみると
「やはり・・・」
膀胱が大きい。
軽く圧迫してみるが、尿が出ない。
いわゆる尿道閉塞(尿閉)である。
血液検査の結果を見ると、軽度ながら
腎臓機能も低下している。

何とか尿を出すことが先決である。
細い猫用の尿道カテーテルを用い、
ネコを横に寝かした状態にして
ペニスより挿入を試みる。
ペニスを見ると、先から白い
半固体状のものが見えた。
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触ると少しざらざらしている。
顕微鏡で見てみると・・・

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結晶の塊である。
塊を少し見やすくすると、プリズム状や
不整型と呼ばれる結晶が観察された。

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これが「スツルバイト結晶」
これらにより尿道が栓をされたようになり
尿閉が起きてしまっていた。

しばらく尿道カテーテルを入れるのに
時間を要したが、最終的にはしっかりと
膀胱まで挿入することができた。
カテーテルの先から溜まっていた尿が
ぽたぽた休みなく出てくる。
シリンジで尿を吸引したのち、
生理食塩水を膀胱内に入れては
回収することを何度か繰り返した。
いわゆる膀胱洗浄を行なった。
回収された尿の下には、肉眼でも
見えるような細かい砂状の結晶が
沈殿していた。

その後静脈点滴等を行い腎機能低下
に対する治療も開始した。
また尿石症に対するフードに変え
数日間の入院の後、無事に退院の日を
迎えた。

寒い季節を迎えると、飲水量が減り
尿が濃くなります。
また寒くなると、トイレを我慢しがちです。
またフードや体質、肥満の有無など
の要因が重なって、この季節は尿閉が
多くなります。
トイレに入って力んでいる時は、便秘
または尿閉の可能性もあります。
「おかしい」と気づいたら、あまり様子をみず
早めに病院を受診されることをお勧めします。

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